ヴァイキング兜に「角」はなかった!?

ヴァイキングの兜

この記事では、ヴァイキングの兜についての誤解や真実を解説しています。実際の兜のデザイン、角があるという誤解の起源、兜の役割などに注目し、その背景を詳しく探っていきましょう。

ヴァイキング兜に「角」はなかった!?

ヴァイキングの被っているヘルメット・・・もといと言えば、映画や絵画などで角が付いたものを思い浮かべる方が多いでしょう。しかし、実際に角のある兜を着けて戦場に立つ戦士たちはいたのでしょうか?歴史的な資料を探ると、意外な事実が見えてきます。今回は、ヴァイキングの戦闘用ヘルメットの実態と、この誤解が生まれた理由について詳しく解説します。

 

 

ヴァイキングの実際の兜

ヴァイキングの兜は、一般的なイメージとは異なり、考古学者たちの数々の発掘や研究を通じて「角は付いていなかった」ことがわかっています。彼らが使用していた兜は鉄製もしくは革製で、機能性と防御力を重視し、丸みのあるシンプルなヘルメット型デザインが主流でした。

 

角つき兜の誤解とその起源

上述したように、ヴァイキング戦士が角つき兜を用いていた記録はありませんが、ではこのイメージはどこから来たのでしょうか?それは以下のような要因が絡んでいると考えられます。

 

ロマン主義演劇の影響

19世紀後半、ロマン主義の芸術家たちはヴァイキングを題材にした作品を数多く制作しましたが、角のある兜をかぶった戦士像が誕生したのはこの時だといわれています。このスタイルはオペラ「ニーベルングの指環」など、演劇やオペラで使用され、広く定着しました。

 

宗教的用途で用いられた影響

一方で、古代北欧やゲルマン民族には、宗教的・儀式的な意味合いで角の付いた兜を使用した記録もあります。戦場用の装備ではなく、威厳や神秘性を象徴する目的での使用でしたが、そのインパクトの強さからヴァイキングのイメージとして採用された側面もあるでしょう。

 

兜の実際の役割

頭部防護

ヴァイキングの兜は、戦闘時の防御を第一に考えて設計されていました。鉄製のものは非常に高価で、一部の裕福な戦士しか持つことができませんでした。そのため、革製や布製の帽子を防具として代用した戦士も多かったのです。

 

機能的デザイン

兜のデザインは飾り気がなく、頭部と顔面をしっかり守ることができる形状が特徴でした。過剰な装飾は実用性を損ねることが多く、戦闘中に動きを妨げるリスクも伴いました。

 

機動性と視界

重厚なデザインではなく、シンプルなヘルメットが選ばれた理由の一つには、視界の確保と動きやすさが挙げられます。戦闘では素早い動きと敵の攻撃に対する柔軟な対応が求められるため、軽量で機動性に優れた兜が好まれたのです。

 

ステレオタイプの角つき兜の意義

映画やテレビドラマの影響で、角のある兜を被ったステレオタイプなヴァイキング象が定着しました。確かにこれらは史実に基づいていない創作ですが、そのインパクトの強さからヴァイキングの存在にロマンを感じ、北欧の歴史に興味をもってくれた人が増えたと、プラスに考えることもできますよね。

 

特に広まって害のある誤解というほどでもないですし、このような現象は歴史的に正確でなくとも文化的影響力を持つことがあります。史実を知り、ステレオタイプはステレオタイプとして理解した上で、「角つき兜のヴァイキング」をキャラクターとして愛でることは何の問題もないのです!

 

以上、ヴァイキング兜の「角」についての解説でした!

 

ざっくりと振り返れば

 

  • 実際の兜は角なしでシンプルなデザイン
  • 「角付き兜」はロマン主義による創作
  • ヘルメットの目的は防御と機動性の確保

 

・・・という具合にまとめられるでしょう。

 

ようは「ヴァイキングのヘルメットに角はなく、角付き兜は後世の創作である。」という点を抑えておきましょう!